今週のお題「受験」
振り返れば、繰り上げ当選でやってきた人生でした。(まだ人生を振り返るほど老けてはいないけれど)
最初は、おそらく大学受験。用意周到に準備を重ねて受けた第一志望はまさかの不合格で、望み薄だったチャレンジ校に合格。第一志望はかなり渋い学校だったのに引き換え、そこは燦燦と陽が降り注ぐようなキラキラな学校だったので、「えっっ、マジで?」(当時「マジで」という言い方はしなかったけれど、まあそんな感じ)と戸惑ったものです。明らかに自分のキャラとは違う気がして、どこかかゆいような、でもまんざらでもないような。
もっとも、自分のキャラではなさそうと思ったのも束の間、のんきで気のいい人が多くて、生真面目だった私も、それまで持っていたとんがった感じをやめました。それによって達成できなかったこともあるけれど、たぶんこのことは、よかったのではないかと思います。
入学直後のフレッシュマンキャンプで学部長の教授が、「今年度はちょっと取り過ぎました」と苦笑いされたのを見て、「私だ」と思ったものです。確証はありませんが、おそらくこれが最初の「繰り上げ当選」。
就職活動はそこそこ苦労しました。バブル前夜。平凡な文系女子でしたので、売り手市場といえる状況ではなかったのです。
とある会社に断られたあと、サークルの合宿に出かけておりましたところ、自宅から電話が。「〇〇×△(会社名)から電話が来てるけど。折り返しかけてほしいってよ。」 当時は、携帯電話なんて普及していませんでしたから、企業からの連絡はもっぱら自宅の電話にかかってくるのです。落ちたので、電話はかかってこないと思って、合宿に来ていたのですが・・・
今でも思い出します。田舎の民宿の黒電話から、言われた電話番号を回した夏の日の情景を。電話に出たのは、面接を担当されていた若手の男性でした。
「今、どこにおるん?」(関西系の企業なのです)
「あ、新潟です。サークルの合宿に来ています」(さすがに、かなり恐縮しています)
「合宿かあ・・・! ええなあ。懐かしいわあ。」
「すみません。」
「僕も行きたいわ。あ、そうそう、一人欠員が出たんで、どうかなと思って。」
二度目の繰り上げ当選が言い渡された瞬間でした。
この会社には4年弱、勤めました。希望の仕事ではなかったので悩ましいときもありましたが、会社の「人」のことは、真面目でそれでいてどこかおおらかで、好きでした。同年代の若い社員が多く、半ば学生時代の続きのような雰囲気さえありました。親しくなった人たちとは、今でもやり取りが続いています。
三度目の繰り上げ当選は、現職です。現在進行形なので詳しいことは書けませんが、採用ではないが名簿に搭載する旨、通知が来たのです。名簿有効期限は1年間だというので、「それなら、1年以内にひょっとしたら、いいことあるかも」「果報は寝て待て」くらいのつもりでいたのですが、意外にも2週間後に連絡が来ました。「一人退職者が出たのでいかがですか。」
現在の仕事に就いて、結構な年月が過ぎました。経験者が有利な職種であるのに、潜入出来たのはラッキーでした。繰り上げ当選のおかげです。
パシッと合格すれば、それはとてもかっこいいけれども、きっかけは繰り上げ当選だっていい。入ってからが、本当のはじまり。その学校で、どう過ごすか、その職場でどんな仕事をするか。真摯に向き合って、認められたらうれしい。繰り上げ当選を引け目に思う必要は全然なくて、むしろすごくラッキーなことだと思います。
私は、繰り上げ当選のラッキーガールです。(ガールというのは、図々しいか・・・)
世の受験生の皆さん。ラッキーをつかんでください! 繰り上げ当選も、悪くないですよ。