てくてくわくわく 街道ウォーク

週末の東海道てくてく歩きのブログです!

体感のひと

今週のお題「怖い話」

 

 怖い話と言えば、口裂け女ですかね。マスクした女の人が「私きれい?」って聞くあれですね。中学生の頃、「とうとう新所沢にも出た」(地元でした)とか噂になって、怖かったなあ・・・ あ、トシがバレますね。

 今は女の人に限らず、マスクの人ばかり。マスクの下の顔はどうなんだろう? すれ違う人、どの人の顔も、マスクの下はわからないというのは、ある意味怖い。

 

 前置きが長くなりました。やっぱり都市伝説は怖いかな。リアルっぽくて。そうなると一番怖いのは、本当にあった心霊体験的な話。特に、知り合いが「本当に体験したんだけど・・・」というのはそれこそ本当に怖いんですけど。特に親類縁者の証言。

 

 この夏休み、実家の母を訪ねたときに、母の両親(私の祖父母)が書き残した記録を託されました。よくまあこんなにというくらい膨大な覚書の数々。昭和20年5月から21年10月にかけて、東京に残った祖父が疎開先の祖母に送った138通のはがきの束は、なかなか読みごたえがあります。戦時下から敗戦を経て、日本人の普通の一人の大人が何を考えていたかわかって興味深いです。字が読みづらくてまださっとしか目を通していないのですが、これからゆっくりひも解くつもりです。

 祖母が書き残したエッセイ集のようなものの中に、ちょっと怖い(?)話がありました。

 実は、生前祖母と話していて、もしかして霊感があるのかもと、私は思ったことがありました。

 一つには、第二次世界大戦中に、出征している義兄(姉の夫)がしきりに頭を下げているという夢を見てまもなく、義兄がグアム島で戦死したという知らせが入ったと言っていたこと。もう一つは、高校生の私がひそかに思っていたことを、「あなたがこんなことを言っている夢を見たのだけど」と言われ、びっくりしたことがありました。誰にもしゃべったこともなく、絶対にわかるはずもなかったことだったので。霊感というか、なにかこう、スピリチュアルな世界に祖母はつながっているのかな、なんて気がしたんです。

 その祖母が書き残した不思議なエッセイを、ここに載せます。お読みください。

 

体感の文 ほほえみ

 霊魂(たましい)も楽しいいたずらをなさる。

 死別(病死)して数か月・・・・・・生前に度々お茶を飲んだ店に入り、いつもの席に独人で座る。前の席には故人が座っているつもりで、一寸っと茶目っ気のある楽しい笑顔とくつろいだ笑い声を思い出しながら。一人分だけ注文したコーヒーにお砂糖を入れながらなぜか自分も楽しくなる。空席の向い側にも一人分あると考え、あの手付き・・・・・・共にリラックスした気分を思い出し味わいながら。もう独人っきりなのに淋しくもかなしくもなく、むしろ喜びの時をゆっくり過ごして此の気持ちを大切に心にしまい、支払いの時に一寸驚きが有りました。

 私も随分金額が多いなと思ったので「変ね」と言ってレジに渡したら『お一人ですね』とキョロキョロ見て居ましたが『コレお二人分でした、すみません』と云って運んでくれた人と話し合って書き直して居ました。私は思って居ただけなのに。その姿がアノ人には見えたんですねキット。だけど運んだのは一人分そして書いたのは二人分。

 考え様では不気味だけれど・・・・・・アノ事ばかりはわざわざ何度も思い出しては楽しんでいます。残念ながらその店はもうありません。

 

 こうして書き写してみると、怖い話ではなかったですね。よく知っている祖母が言っていることだからかしら。

 温かくて穏やかな人でした。そのまま年をとり、ある日、眠ったまま亡くなりました。87歳でした。

 私は今でも、祖母の霊魂に守られているのではないかと思います。そのくらい優しい人でした。