てくてくわくわく 街道ウォーク

週末の東海道てくてく歩きのブログです!

肘頭骨折 術後77日目 もう一度行きたい場所

今週のお題

 鹿教湯。「鹿が教える湯」と書いて「かけゆ」と読みます。昔、文殊様の化身の鹿が、信仰心の厚い猟師に、傷を治すとよいと教えた温泉だとか。鹿が教えた温泉。そんなネーミングに心惹かれますが、そもそも、ここを知ったのは数十年前。結婚する前で、両親と暮らしていた頃のことです。

 

 いきさつをちょっと説明しますと、実家の近所に、昔、先生をしていたという年配の女性がいらっしゃって、母が、その方にしきりに勧められたのです。

「教え子がお嫁に行った温泉旅館で、とてもいいところがあるんですよ。あの子は頑張り屋さんで、とてもいい子でした。東京から遠く離れた場所に嫁いだ今も、とても頑張っています。この間、泊まりに行って、頑張っている姿に感心してしまいました。いいところなので、ぜひ、訪ねてあげてください。」

 ここまで言われれば、行かねばという気持ちにもなりますね。

 「かけゆ? 聞いたことないなあ・・・」と首をひねりつつ、そのご近所さんの紹介のお宿を訪ねました。松本駅からバスにかなり揺られた先のそこは、温泉しかない、まさに「秘湯」と言う表現がふさわしいような、ひなびたところでした。

 ごく普通の飾り気のない建物の中のごく普通の部屋に通されますと、後継ぎの方とみられる若い男性が(教え子さんの旦那様ですね)、頭に手ぬぐいをかぶって、ふうふう汗をぬぐいながら入っていらっしゃいました。「裏の山菜を摘んだところです。これから揚げて夕食に出しますね。」

 この山菜の精進揚げが、絶品でした。その日に採れたものを出すので、何が出るかはお楽しみ。部屋での夕食時、ご主人は忙しそうでいながら、結構話し込んでいかれ、素朴な「おもてなし」がありがたく、嬉しかったです。

 「鹿が教えた温泉」というロマンチックないわれと、温泉宿とリハビリの病院ばかりの「ザ・湯治場」的な雰囲気。ミスマッチなようでいてそうでもない。不思議な印象を抱いた旅でした。

 

 両親は「鹿が教えた温泉」マジックにかかったのか、その後も何度かリピートしたようで、何回目かのリピートの時に、結婚していた私たち家族を誘ってくれました。20年くらい前でしょうか。

 再訪した鹿教湯温泉は、最初に訪れたときよりも、ずいぶん観光地らしくなっていました。リハビリ病院の他にも、お土産物屋さんとか観光案内とか、整備された感じ。くだんの旅館も改築され、露天風呂もできていました。小さな音楽ホールもあり、夕食の後にご主人が、ギター片手に弾き語りのミニコンサートを。「おもてなし」に新しいカードが増えていました!

 翌朝には、朝食の後に喫茶コーナーでこだわりコーヒーのサービス。豆は多くのお客さんに好まれる「モカ」にしていること、美味しく淹れるために気を付けていることは、最後までドリップしないで引き上げること、などなど話してくださり、「なるほど!」と思ったのでした。ちなみにこの教えは、そのまま、私のコーヒーの淹れ方になって現在に至ります。

 この時は、松本からバスに揺られて行ったのではなく、自宅からスポーンと車で直行。だからでしょうか。あまりひなびた感じはしなかったですね。

 

 もう一度、あの場所に行ってみたいと思います。出来ればバスに揺られて。

 お宿のご主人はお元気でしょうか? さっきネットで調べたら、それは「鹿乃屋旅館」というところでした。今の時代は、ネットで何でも調べられて、便利になりましたね。

 傷を癒すとよいと鹿が教えた温泉に、1週間くらい滞在したいなあ。骨折患者ですからね。最近、地元のスーパー銭湯がマイブームですが、やはり街全体が「湯けむり癒しモード」になっている湯治場にはかなわないと思ます。

www.kakeyu.or.jp

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by リクルート住まいカンパニー