「まちなみ」ウォッチは、当ウォークのバイブル『ちゃんと歩ける東海道五十三次』(八木牧夫 山と渓谷社)に記載されているチェックポイント以外で立ち寄った場所や、ちょっと気になったスポット、心に残った風景などを自由にレポートします。
チェックポイントに沿った旅の記録については、前回・前々回の記事をご覧ください。
小田原駅より「なりわい交流館」に向かって歩いて行くとひときわ目を引く建物があります。「だるま料理店」です。
だるま料理店
明治26年(1893)創業の料理店です。関東大震災で建物が倒壊しましたが、ブリの大漁で得た資金をもとに大正12年に再建し、今日に至ります。唐破風入母屋造りの建物は国登録有形文化財に指定されています。
詳しくは説明板をぞうぞ。
メニューを見たところ、丼もの等も多くお値段はさほど高くはありません。心惹かれますが、ウォークとは両立しませんので、いつかの楽しみに取っておきましょう。
なりわい交流館より東海道を歩き始めますと、個性的な老舗が立ち並びます。
済生堂薬局小西本店
「薬博物館」を名乗っていて、昔ながらの薬屋さんの道具を展示してるらしいです。残念ながら日曜・祝日は定休日ということで、見学できませんでした。
建物は、やはり関東大震災で倒壊した明治時代のものを大正年間に復元したものです。
ういろう
大きな通りを挟んで小西本店の向かい側に、存在感たっぷりの株式会社ういろうの店舗です。
ういろうは、500年前からこの地で外郎家の営む薬屋・和菓子屋です。詳しくはホームページをご覧になるのがよいかと思います。
明治18年築のお店の蔵を利用した「外郎博物館」が併設されています。こちらも大変魅力的だったのですが、先を急いで今回はパスしました。小田原駅に近いので、いつか見学したいですね。お昼はだるま料理店で(笑)。
欄干橋ちん里う
小西本店から少し歩いたところにあります。小さいながら独特の雰囲気を持っているので、誰でも思わず足を止めてしまいそう。ちょっと覗いてみましょう。
「梅万資料館」を名乗って、古い梅干しとかいろいろな梅干しの種を展示していますが、その他にも梅みそやご飯のおともになりそうなもの、珍しいものがいろいろ売られています。お財布のひもがゆるみっぱなし(汗)。
報徳二宮神社にお参りした後、近くの清閑亭に立ち寄りました。(街道からやや外れますが、これよりしばし、近代の文化人・財界人の庭園・邸宅をめぐります。)
清閑亭
清閑亭は、黒田長成(貴族院副議長や枢密顧問官などを務めた伯爵 1867~1939)の別邸です。
入り口前の説明板です。明治39年(1906)の造営で、格式張らない近代数寄屋建築の建物と、お座敷からの相模湾の眺望が特徴だそうです。
なお、清閑亭の土塁は小田原城三の丸土塁の一部だそうです。見晴らしのよい立地にうなずけます。
予備知識はこのくらいにして入ってみましょう。
落ち着きのある佇まいです。写真には写っていませんが、右手が玄関です。
爽やかな風が吹き抜ける和室。
二階からの眺望はさすがです。時のたつのを忘れて、いつまでも眺めていたいです。
バイブルには載っていませんが、ここは立ち寄りスポットとして追加したいくらいおススメです!
静山荘
実業家・望月軍四郎(1879~1940)の別荘だそうです。
「望月軍四郎って?」と気になる方は、説明板をアップしますのでご覧ください。
一般公開はしていません。
小田原文学館
小田原文学館の敷地内には、白秋童謡館と尾崎紅葉の書斎もあります。こちら、そのことを説明する看板です。
文学館の建物です。幕末の志士で元宮内大臣でもあった田中光顕伯爵の別邸で、昭和12年の建築です。南国調。おそらくとても洒落た建物だったのでしょうが、外壁など老朽化が目立っていて少々残念な印象。庭にはヒメジオンがちらほら・・・ せめて外回りなどもう少し手入れすればいいのになあと、思ってしまいました。(すみません) 中に入る気はしなくて、観覧券は買いませんでした。
敷地内にある尾崎紅葉の書斎です。市内にあった旧宅のうち書斎部分を移築したそうです。中に上がるには文学館の観覧券が必要だと言うので、外からの見学にさせていただきました。
白秋童謡館は、リニューアルオープン待ちのようですね。
敷地内にあった白秋の童謡碑。あの「赤い鳥小鳥」は小田原にいるときの詩なのですね。
小田原文学館界隈は、閑静な住宅地になっています。高級住宅街?
小田原邸園(邸宅と庭)散歩を勧める立て札もありました。近代文化人に思いを馳せながら、静かに散歩をするのもロマンチックでいいですね。
私の好きな白秋の詩が紹介されている看板があったのでアップします。
栗鼠、栗鼠、小栗鼠、
ちょろちょろ小栗鼠、
葡萄の房が熟れたぞ、
啼け、啼け、小栗鼠。
板橋見付跡より、旧道に入ります。静かで、心なしか古い佇まいの道です。
現在も営業中の、昔ながらの店構えの畳屋さんがありました。
下田豆腐店
こちらは、各種パンフレットにも紹介されているお豆腐屋さん。「まちかど博物館・とうふ工房」を名乗っています。
この日は閉店でした。とても残念。
メニュー、いろいろあって興味津々です。
お豆腐屋さんから旧道を振り返ったところ・・・
お豆腐屋さんの隣にパン屋さんが。「金太郎牛乳パン」の看板に、妙に心をわしづかみされました!
普通の地元のパン屋さんなのですが。「ここに来て、わざわざパンを買うかな?」と思い一度はお店を出たのだけれど、結局「古希庵」を見学した帰りに(お店の向かいが、古希庵に至る道です)また入ってしまいました。
金太郎牛乳パンというのは商品名ではなくて、ここで売っているパン全般のことを言うみたいですね。
イチオシだという「軟フランスパン」を購入。
お昼時だというのに、それらしきお店は皆無。軟フランスパンを食べながら歩きます。
内野邸
パンを食べ食べ歩いていると、古い構えの建物が見えてきました。
明治36年(1903)築。お醤油屋さんを営んでいた内野家の店舗兼住宅だそうです。
普段は見学できるようですが、この日は音楽会を開催中とのことで入れませんでした。隣接するカフェに寄っていきませんか?と勧誘されたのですが、お腹はすいていてもカフェという気分ではなかったので、ごめんなさいしました。
通り沿いの掲示板のチラシ。
「あなた、いい肩してますね!!」ですって。北条五代祭り、大きなお祭りだと聞いています。担ぎ手さん、集まったかな?
旧道が終わり、ふたたび国道1号線に合流です。
頭上を箱根登山鉄道が走ります。
これよりしばらくは特に見どころ・チェックポイントもなく、線路と並行してひたすらてくてく1号線の歩道を歩きます。
かつて登山鉄道の車窓から眺めた景色。あの見慣れた景色を今歩いているんだなと思うとちょっとわくわく。
風祭駅手前の踏切まできました。
単線にロマンスカーのアンバランスが面白い。
風祭駅踏切です。ここを渡ると、鈴廣のショッピングセンター「かまぼこ博物館」に至ります。
青空にはためく大きな幟。もちろん鈴廣の。さすが。
鈴廣本店。ショッピングセンターとは違い、明らかに高級そう。入ったら買わずには出てこられない雰囲気。なので、外からパチリするにとどめました。
私たち庶民なので、ショッピングセンターの方でお買い物をしました。帰りは鈴廣のショッピングセンターから直接、風祭駅に行くことができます。ほんの数十メートルで駅です。
駅の改札脇のつくばい。
かまぼこ製造用の石のすり鉢だそうです。
まちなみウォッチ最後の写真は登山鉄道で。これに乗って帰ります。よかったよかった( ´∀` )
ここまで読んでくださりありがとうございました。
また訪ねて来てくださると嬉しいです。