てくてくわくわく 街道ウォーク

晴歩雨読。週末の東海道てくてく歩き&ときどき読書のブログです!

 浮世絵ウォーク 平塚

広重さんの「東海道五十三次」(保永堂版)と街道をめぐるための事前チェック。今回は「平塚縄手道」の画です。

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 平塚宿の境界を示す杭が道の手前に立っているところから、平塚宿を抜けて大磯へ向かう道を描いているものと思われtます。平塚宿と大磯宿の境は金目(花水)の辺りだったので、現在地は花水橋の辺りか?

 街道は田んぼ道(縄手道)となり、田んぼの中を蛇行しながら大磯へと向かっているようですが・・・実際にはこんなにジグザグではなくて、広重の構想によるものとも考えられています。ジグザグにすることで奥行きを深くし、画面三分の一ほどに地平線が設定される低い視点にすることで、正面のもっこりとした丸みを帯びた高麗山が高々と仰ぎ見られるような効果を生み出します。背後の富士山を小さく描くことでも高麗山の大きさを増大させています。また、高麗山の山裾が淡くぼかされているため、田んぼがどこまでも続いているような感じも生まれています。路傍の松の大きさを三段階に描き分ける遠近法も忘れません。写実的のようで実はなかなかのテクニシャン、いつものことながら広重さんに脱帽です。

 広重さんの画と言えば、画中の人物にストーリーがあるのも見どころの一つ。ここでの主役は街道を仕事場とする男たち。手前の後ろ向きの二人連れは駕籠かきです。客を見つけられず、空の駕籠を担いでいます。一人の男が肩に担いでいる長い棒は駕籠に通して使うものですが、ここでは抜き取られ、二人の笠がぶら下がっています。反対方向からやってくるのは平塚宿へ向かう飛脚。上半身裸で鉢巻を閉め、口をぐっと結んで、気合をみなぎらせて走っています。まさに仕事中! 客が見つからずとぼとぼよあるく駕籠かきとすれ違う瞬間です。対照的な両者を描くことで、広重は何を訴えたかったのでしょうか? 

 右手の角ばった山は、信仰の山として有名な大山です。大山と富士山と高麗山と。三つの山が描かれた贅沢な構図からして、広重さんが一番描きたかったのは、山なのかもしれないとも思えてきます。実際、高麗山の山肌の描き方は特筆するに値するものです。横長の点がたくさん打たれていますが、これは北栄の山水画に始まる、米点と呼ばれる表現を取り入れたものです。広重さんが米点の由来を理解していたかどうかは不明ですが、山岳表現の一手段として身につけていたことは確かです。広重さんは、新しい手法をこの画で試してみたかったのかもしれませんね。

 

【参考】

『広重と歩こう東海道五十三次』安村敏信 岩崎均史 小学館

『謎解き浮世絵叢書 歌川広重 保永堂版東海道五十三次』町田市立国際版画美術館 二玄社

 

 ここまで読んでくださってありがとうございました。次回も広重さんの浮世絵「大礒 虎が雨」について書きます。また、訪ねて来てくださると嬉しいです。

 

 

 

 


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