てくてくわくわく 街道ウォーク

週末の東海道てくてく歩きのブログです!

今年中にやっておきたいこと

今週のお題「今年中にやっておきたいこと」

 

 今年中にやっておきたいことは、庭仕事です。

 以前に、とある方の本で、庭付きの借家に引っ越してきて、庭から前の住人の暮らしがわかるというくだりを読んで、面白いなと思ったことがありました。庭の思わぬところから、初夏になると紫蘇が出てきたり、ミントなどのハーブの茂みがあったりするのを見つけると、顔をみたこともない相手なのに、妙に距離が近くなるというのです。コンテナの植物はその時期を楽しむものが多いですが、庭の植物たちは、毎年その姿を見せてくれます。宿根草は地面に深く根をはって、多年草は種を飛ばしながらたくましく。

 子どもたちが小さいころは、庭付きアパートに住んでいました。かつては雑木林だったという庭は、取っても取っても、ヤブカラシのような雑草が姿を現し、「もともとは藪だったんだよ」と、まるで自然が主張しているようでした。半ばあきらめ、コンクリートのたたきのスペースに、コンテナを置いて、子どもと庭のある生活を楽しみました。晩秋に球根をたくさん植えると、春先には色とりどりのチューリップの花が庭いっぱいに咲きました。夏にはトマトやキュウリの収穫をしました。子どものためと言いながら、自分が一番楽しんでいた気がします。そんなある日、実家の父が訪ねて来て、ぼそりと言ったのです。「周りを手入れしてあげないと、大事にしたい植物も育たないよ。」 そうか、トマトやキュウリが今一つ美味しくないのは、このためだったのか。コンテナの土や日当たりだけよければいいというものではないのか。恥ずかしいことですが、そこまで考えたことがなかったのです。庭を見る目が変わった一言でした。

 10数年前に中古の戸建てに引っ越してきました。もともと畑だったというだけあって、藪の中のような植物は生えてきません。猫の額よりも小さい申し訳程度の庭ですが、嬉しくていろいろな草花を植えてみました。ビオトープガーデンを目指して、小さいながらも庭をデザインして様々な低木や宿根草を配置し、日当たりのいい一等地はハーブの寄せ植えにしました。グランドカバー用にワイルドストロベリーやスパニッシュデイジーを増やし、東側の細長いスペースには、野菜用のコンテナを置きました。ここで収穫する野菜は、以前のアパートのものとは比べ物にならないくらい美味しかったです。

 庭づくりに夢中になっていたのには、もう一つ訳がありました。その頃、私は乳がん検診で、グレーに近いと言われていました。要観察と言われ、また来年必ず検査するようにという程度のグレーだったのですが、それでも憂鬱になってしまいます。そんな時、「私にもしものことがあっても、庭は10年20年残る。」と思ったのです。無心に庭の土をいじっていると、しばらくはもやもやした気分も忘れることができました。自分の痕跡を残せるものは庭である。この思いは、グレーの疑惑が去った今も変わりません。

 だからこそ、庭はよい状態に保っておきたいと思っています。今はフルタイムで仕事をするようになり、庭にことを考える時間も手入れをする時間もなくなりました。ほんの少しの季節の花のコンテナと、かつて植えた宿根草が顔を出している程度の庭になってしまいましたが、荒れた庭にはしたくありません。草木が枯れて雑草が少ないこの時、徹底的に草取りをしてダメ出しをしておくと来季が楽です。寒いですが夏の直射日光のもとよりはマシですし、蚊に悩まされることもありません。1月になると、我が家では毎年植木屋さんに来てもらい、庭木はもちろん、庭全体を見てもらっています。その前にいったんきれいにしておきたい。12月は、庭仕事のチャンスなのです。

 だから、私が今年中にやっておきたいことは庭仕事です。

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