てくてくわくわく 街道ウォーク

晴歩雨読。週末の東海道てくてく歩き&ときどき読書のブログです!

今年買ってよかったもの

今週のお題今年買ってよかったもの

 

 今年買ってよかったものは、自分へのプレゼントの腕時計。お正月に実家を訪ねた時、母が「もうすぐお誕生日なんだから、何か買いなさい。」とそっと渡してくれたお小遣い。この歳になって親からお小遣いなんて、本当に胸が詰まるような思いなのですが、だからこそというか、母の気持ちと一緒にありがたく受け取りました。さて、どうしよう? 生活費に入れてしまって、日々のおかずになるのは忍びない。なにか、形に残る素敵なもの・・・。「そうだ、時計だ、時計を買おう。」

 初めて腕時計を買ってもらったのは、中学入学を控えた春休みでした。母と叔母に連れられて、池袋のデパートで、同じく中学生になる従妹とおそろいで買ってもらった入学祝の腕時計。銀色の小さなトレーに載せられて差し出された時計の値段にびっくりしたことを、昨日のように思い出します。はっきりした値段は覚えていないのですが、「これは、なくしちゃいけないな」と。やがて中学生になると、毎朝、腕時計のぜんまいを巻くことが日課になりました。巻きすぎてもいけないと、デパートの売り場の店員さんから説明を受けていたので、毎朝きっかり50回。1週間に1回は、ニュースの時報で、時刻合わせもしました。片道1時間の電車通学をしていたので、時計はいつも、私の腕にありました。

 いつのころからでしょう? 腕時計をしなくなったのは。初代の腕時計は、ブレスレットタイプの時計に代わり、やがて子どもが生まれると、腕から消えました。赤ちゃんを抱く時に、堅い時計は危険ですからね。普段使いの電池時計を持っていた時期もありましたが、いつの間にか動かなくなってしまい、10年以上、腕時計を持たない暮らしが続きました。時刻を知るだけなら、携帯電話の画面で事足ります。

 ちょっとしたきっかけは、施設に入所している義母が、タンスにしまっていた自分の大切な腕時計が動かなくなってしまったと、言い出したことでした。壊れてしまったに違いないと嘆く義母を「大丈夫、修理に出せば必ず直るから」となだめて、時計を店に持って行ったところ、太陽光で動く電波時計であることが判明。日の当たる場所に出して待つことしばし、ちゃんと正確な時を刻み始めたではありませんか。「お母さん、壊れていなかったですよ。ほら、お日様に当てれば動くんです。」と言うと、「そうなのよ。あたし、知ってたわよ。かわいいでしょう? いい子なのよ、この時計。」と珍回答。認知症ゆえの珍回答でもありますが、時計がかわいいという言葉に、妙に共感してしまった私です。いいなあ、時計買おうかなあ。ソーラー電波時計

 そんなときに実母からのお小遣いでした。近所のスーパーの時計売り場をそうっとのぞいてみますと、思っていたより高価でがっくり。そういえば、義母は、銀座の時計店で買ったのよと言っていたっけ。他の記憶はあいまいなのに、なぜか銀座の時計店を強調していたっけ。ご自慢の時計だったのですね。私が、よほどがっかりした顔をしていたのでしょうか。娘と歳が変わらないくらい若い男性の店員さんに、声をかけられました。おずおずと予算を言うと、ケースの奥から、予算よりやや高めながらまあまあな値段のを出してきてくれました。わぁ、どれにしよう・・・と決めらないでいると、「これなんか、いかがでしょう?」と、シンプルなチェーンの時計を選んでくれたのでした。

 こうしてまた、腕時計のある暮らしが始まりました。ぜんまいを巻くことも時刻合わせもありませんが、朝、時計をすると「さあ、今日も頑張って仕事に行こう。」と思えます。そうそう、「お母さんの時計を見て、私もソーラー電波時計が欲しくなって、買っちゃいました。」と義母に見せたら、「ね、かわいいでしょう? よかったわね。」と喜んでくれましたっけ。またまた珍回答ながら、心がぽっと暖かくなったのでした。

 実母と義母の後押しで買った腕時計、つけているとあったかい。だから、今年で一番、買ってよかったものです。

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